「シリーズ楽曲研究」とは
こんにちはFyah Mentalです。
先日の初投稿記事、ご覧になってくださりありがとうございました。
突然ですが本日は「シリーズ楽曲研究」と題して、具体的なレゲエ作品を掘り下げてみようと思います。
このシリーズはレゲエファンにはお馴染みの名曲を掘り下げることにより、音楽性だけに留まらず様々な角度からレゲエを捉えてみようという試みです。
「そんな小難しいことは抜きにして、とりあえず爆音で楽しもうよ!」
というパーティーピープルにもビッグ・アップ(敬意)です。
それも確かにひとつの楽しみ方として間違ってないですし、私もそんな気分によくなります。
でもちょっと待てよと、レゲエも「アート」である以上いろんな教養や私たちが生きていく上でのヒントが隠れているのかもしれません。
だとしたら、それらをスルーしてしまうのはもったいないかも知れないですね。
私の記事も参考にして頂ければ凄く嬉しいですし、自分の好きな曲などがあればそれを調べてみるとますますレゲエが楽しくなるかと思います。
基本データ
ということで、さっそく本題に入っていきます。
今回扱う楽曲は
Luciano / Sweep Over My Soul
です。
1997年にリリースされたラスタアーティストLucianoさんの代表曲の1つです。
「ラスタ」とはレゲエのバックボーンをとなる宗教的な観念要素であり、このブログのタイトルにもなっている「Jah」をキリスト教やユダヤ教でいうところの救世主の立ち位置にて信仰の対象とする教えのことです。
ものすごく噛み砕いてますが、もっととっつきやすさを最優先で書くとしたら、
キリスト教(ユダヤ教)のジャマイカ版
が個人的に一番しっくりきます。
またこれについては別の機会に記事で書いてみたいですね。
そしてレゲエやダンスホールを議論する際に、大事な要素のひとつとなる「レーベル=プロデューサーや制作会社」ですが、
Phillips “Fattis” Barrel代表取締役率いるXterminatorレーベル
の制作となります。
また本楽曲のカラオケ=リズムトラックですが、1976年にリリースされた
Mighty Diamonds / I Need A Roof
がベースとなっています。
同じくXterminatorレーベルから同様のリズムトラックにてリリースされた
Capleton / Stand Tall
Sizzla / Babylon Ah Listen
も大ヒットを記録しています。
考察してみる
ざっくりと楽曲の基本情報を書き出してみましたが、ここからは私なりに気になった箇所や内容について考察していきたいと思います。
まず、この曲個人的に大好きな曲です。
ベースになってるMighty Diamonds / I Need A Roofも素晴らしい曲なのですが、上記紹介したXterminatorレーベルのアレンジもステキですよね。
さらにそこにLucianoさんのメッセージ性溢れるボーカルが乗っかり、心が洗われるようです。
90年代後半は、Xterminatorレーベルを筆頭にこういったメッセージ性の強い楽曲や社会問題を提起する楽曲が一大ムーヴメントを巻き起こした時代でもあります。
グローバル化が加速していく激動の時代の中で、ジャマイカで暮らす黒人としてのアイデンティティーを再度追求して行こうという人々の思いがこういった形でアートに現れていたのだと思います。
昨今のChronixxやProtojeなどのラスタリバイバルと言われるアーティストの台頭と通じる部分もあるのではないでしょうか。
今回リリックを翻訳していく中で(トップのYouTubeリンクご参照ください)、
“Sweep”
という単語の意味をいろいろと調べてみました。※Weblioリンク
どうやら箒ではくように、あらゆるものを一掃してしまうような動作に使われるようです。
Jahが邪悪なものを一掃してくれる、きれいな心で常にいましょう、みたいなカンジでしょうか・・・
私は「かきたてる」という日本語をあてはめてみたのですが、皆さんはどんな翻訳がしっくり来ると思いますか。
また歌詞の途中で出てくる
“Gethsemane(ゲッセマネ)”
とはいったいなんぞや・・・ということでググってみました。※コトバンクリンク
ふむふむ、要するにキリストが最後の晩餐の後に捕らえられた場所とのことですな・・・
んー宗教的に神聖な場所の象徴として歌詞に登場しているのでしょうが、突き詰めた意図は分かりません。
ここはひとつジャーメッセンジャーの言葉を黙ってキャッチしておくことにしましょう。
余談ですがレゲエの歌詞にはこういった聖書で使われる用語が多々登場してくるので、一般教養としての宗教に関する知識があるとだいぶと分かりやすくなるのかなと思います。
まとめ
本記事では
Luciano / Sweep Over My Soul
について楽曲基本情報を交え、曲の内容や個人的な考察について書いてみました。
もともとこの曲を聴いたことがある方が、一歩立ち止まってより深く知れるきっかけになれば幸いです。
私がこの歌詞の中で特に共感できた部分は
“Though the roving life get rough, Jah Jah sweep over my soul”
という部分です。
「人生は放浪の旅(Roving Life)であり、その道程は起伏が激しい(Rough)ものだけど、信念を持ってきれいな心で突き進んでいけば必ず道は開けてくる。」
と、しんどくなった時はこの歌を聴いて自分に言い聞かせています。
皆さんも日々の暮らしや仕事の中で困難に直面した時、悪い誘惑に負けそうになった時はぜひこの歌を思い出してもうひと踏ん張りしてみてください。
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